『若恋』榊の恋【完】
「面倒なので靴の上からでいいですね?」
「たの、止めてくれっ!」
懇願されても許す気は更々ない。
汚れた靴の上から一気に得物を突き立てた。
「ぐああああっ!」
口の端から泡を吹き見開いた目は充血し真っ赤。
荒い息を吐き出し苦しげにもがく。
「次は左です」
「この野郎!」
雑魚のひとりが体当たりしてくるのを手にしていた血のナイフで避けた。
脇腹に刺さりその男は声もなく床に転がった。
「浅い傷なので舐めておけば大丈夫です。さて、左足も」
髪を掴み気絶寸前の男の顔を上げさせる。
「最後は苦しまずに天国に逝かせてあげますので心配しないでください」
にっこり笑うと、恐怖で顔を引きつらせた男が突然白眼を剥き泡を吹いてガクッと首を垂れた。
「もういいか?榊」
靴に血のついたのを転がった男の服で拭う。
気がつくと後ろに若がいた。