『若恋』榊の恋【完】



「恨むんなら、自分を恨むんだな。俺の大事なものや仲間に手を出したことを後悔すればいい」


ジャリ

足音がして若が隣に膝をついて、ひかるちゃんを襲おうとした男の首を片手で握り潰した。



「この野郎が、」

「若が手を汚す必要はありません。わたしが落とし前つけさせます」



「ぐはっ、ごほっ」

喉仏を潰されて男は息が出来ずに顔を赤黒くした。



「早く吊るしてやれ」


若が吐き捨てるように告げて立ち上がった。



殴り殺すよりも生きたまま冬の岸壁に吊るしたいと話した気持ちを尊重してくれる。



冷たい風が体に凍みる中、全裸の男たちをひとりひとり岸壁に立たせる。



「た、助けてくだ、」

「頼む、何でもするから助けてくれ」




「悪いですがそれはできません」


あっさりと告げて、

手足を縛り口にテープを貼り突き落とす。



悲鳴とも、叫びともつかない声が漏れ海に落ちた。




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