『若恋』榊の恋【完】




―――護衛?


ひかるちゃんに?




ドクンドクン
ドクンドクン


心臓が早鐘を打つ。



「毅をつけようかと思うんだがどう思う?」


「………」


「仁もそれでいいって言ってるんだがどうだろう?」


「若、それはわたしが決めることではないので」



「じゃあ、決まりだな」



あっさりと決断し、携帯を開いてどこかへ掛けた。




「毅を妹につけろ」



もうひかるちゃんの安否を気にして行動を追うことはできない。

毅がひかるちゃんにつくのならこれほど安全なことはない。




それなのに。

それなのにどうして、胸に波風が立つ。

冷静でいるのに、胸が痛くなる。

掻きむしりたい衝動に駆られる。


まるで他の男に盗られたような気までしてきて吐き気までしてくる。





「榊、どうした?」


「いえ、なんでもありません」


胃から込み上げてきたものを気力で押し戻した。



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