『若恋』榊の恋【完】




毅がひかるちゃんの護衛に…。

自分がもっとも信頼して三年位前から育てた男だ。

りおさんの護衛にも自分がいない時に毅をつける。

頭もいいし勘が良くて常に最善の道を選ぶ。

危険なものには絶対に近づかない。

何かがあると、身を挺して庇い守るべきものを守る。




「毅ならばひかるちゃんは安全ですね」



若がじっと自分を見ている。

本心を隠すので精一杯でうまく表情が作れない。




「そうだな…毅ならばな」

「そうですね」

「榊、おまえはあの娘から離れて本当によかったのか?」

「突然、なんですか?」


何の脈絡もなくひかるちゃんの話になる。

「…あの夜に見たおまえが本当のおまえだろう?なぜあの娘から逃げる?」

「…別に、逃げてませんよ」

「逃げてないって言うならなんであの娘の気持ちに応えてやらない?」

「………」

「俺はおまえが時々ひとりで出掛けるのを知ってるぞ」



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