『若恋』榊の恋【完】
「何を知ってるって言うんです?」
カマを掛けられてると思ったが。
「気になるんだろう?別れたなんて言ってても、常にあの娘を見ている」
「…若の思い過ごしですよ」
「そうか?だったら昨日の夜にはどこに出掛けてた?」
「!!」
「言ってみろ。昨日の夜は誰とどこにいたんだ?」
「…昨日の夜は」
昨日の夜はひかるちゃんがクラスの友達とカラオケに行って家に戻るのを確かめるまで車の中に居て見ていた。
「昨日の夜は古い友人と街に飲みに出掛けてましたよ。飲んだのはノンアルコールですがね」
「………」
このぐらいで若を騙せるはずもないが、本当のことを言う気にはなれない。
りおさんにはひかるちゃんに近づかないでと告げられたのに近づいているのを知られたくない。
「それが何か?」
「いや、なんでもない」