『若恋』榊の恋【完】
銃撃戦
「ひかるさんが連れて行かれました!すみません!」
額の上から血だらけ血みどろになってフラフラと駆け込んできたのは、ひかるちゃんを護衛しに行ってた毅だった。
「何があった?」
「学校近くの交差点で人が飛び出してきて…危うく轢きそうになって車から出たところをやられました…」
「毅、頭見せろ!」
「若、俺のことよりひかるさんが奴らに、」
「それは今考えてる。榊!」
仁が若に言われて部屋へ呼びにくるまで何も知らなかった。
部屋から出てくると、額の上からざっくりと切れている毅の応急処置が始まっていた。
「榊、りおの妹がまた拐われた。今度も多分あいつらの仕業だろう」
ガタン!
思わず手に持っていたお茶を落とした。
反射的に若に背中を向けた。
「待て榊、ひとりで突っ走るな」
「若、ひかるちゃんが危ないんです」