七色ライラック




そしてその大胆さ驚いた。




「わ、悪い!」




慌てて掴んでいた彼女の小さな手を離して向き合えば、二人の間に流れる何とも言えない空気。


言葉は何も思い付かなくて。


小さな子どもさえいないこの場所には、この沈黙を邪魔する声は一つもない。




(な、何しちゃってんだ俺!)




なんてことをしてしまったんだろう。


恥ずかしいやら申し訳ないやら。

いろんな感情が交差して俺の頭は混乱状態。大パニックだ。


衝動的に、なんて俺らしくもない。

これで嫌われたりしたらどうしたらいいんだろうか。マジで洒落にならないんだけど。


内心とてつもなく焦っているのに、それでもポーカーフェイスを気取ってしまう俺は本当にどうしようもない馬鹿だと思う。




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