七色ライラック
そんな俺の耳に不意に聞こえてきた彼女の綺麗な声。
その声に顔を上げれば、真っ直ぐで透き通った瞳と重なった。
「あ、えっと…大丈夫、です…」
小さくそう言ってふわりとした笑みを浮かべる彼女。
(て、天使…!)
まるで辺りに花が飛んだような。柔らかいその雰囲気に顔が熱くなる。
心臓がバクバクと大きく揺れて今にも飛び出しそうな感覚に陥った。
言葉を発しようにも上手いこと声が出てこない。
初恋したばっかりのガキみたいな、そんな気分。
まぁ、あながち間違ってはいないんだけど。
自分で言うのは恥ずかしいけど、こんなピュアな恋したことなくて。
恋してるって初めて実感してるんだ。
「あ、あの…さ」