七色ライラック




このまま黙ってるのもまずいと思って無理矢理言葉を紡いでみる。

だけど、その先が続かない。

言葉はたくさんあるはずなのに全然出てこない。


辺りは相変わらずシンと静まり返っていて、ここには俺たちしかいないことを告げていた。

その事実が更に俺を緊張させる。




(やばい。どうしよう…!)




落ち着け、俺。自分に言い聞かせるように心の中で何度もそう呟いて彼女を見つめた。


目の前には不思議そうな顔で次の言葉を待っている彼女。

小さく首を傾げる姿は可愛いなんて言葉じゃ表現しきれない。


そんな彼女が、こんなに近くにいる。


不可抗力にせよ何にせよ、今この時は現実なんだから。


逃して、たまるか。




「少し、俺と話しませんか…?」




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