七色ライラック
そんな俺の隣で彼女は特に気にした様子もなく愛らしく微笑んでいる。
変わらない態度が嬉しいんだか悲しいんだか。
いや、やっぱり嬉しいよな。
何度も近くで見たいと願った笑顔だから、嬉しくないわけない。
そんな彼女を凝視していられなくて空に視線を向ければ、ふと近くに立つ大きな時計が目に入った。
「…ごめん。もう間に合わねぇな、学校」
見えた時計の針は八時を過ぎていて。
早い電車に乗ったのに何故と思ったけど、思っていたよりも時間が過ぎていたらしい。
そんなのにも気付かないくらい緊張していんだと思う。
サク女は始まるのが俺らの学校より早いって雪から聞いた。
此処から駅までは少し距離がある。