七色ライラック




サク女までだって駅から少し歩かないといけない。

俺が今から電車に乗ったってギリギリなんだから、彼女は遅刻確定だろう。


俺の学校と違って彼女はサク女だ。遅刻一つでも全然意味が違うはず。


悪気はなかったにしろ結果がこれじゃあ申し訳なさ過ぎる。

そう思ってガシガシと右手で頭を掻いた。


でも




「私、学校サボったの初めてです」




そう言って恥ずかしそうに笑った彼女。

ドキドキしますね、なんて笑ってるけどその笑顔に俺のほうがドキドキだ。




(かわいい…)




あぁもう…俺このまま死ぬんじゃないだろうか。

本気でそんなことを思う。


そう思うくらい緊張してるんだよ。


道端の花も見上げる空も、何気ない公園の風景も。

全部色鮮やかに見える。




< 110 / 244 >

この作品をシェア

pagetop