七色ライラック
魔法みたいに俺を惹き付ける。
少しの間それに魅せられ店の前に突っ立っていた俺はかなり不審だっただろう。
それでもこれを贈りたいと思った。
なかなかファンシーな店で、一人で入るのはかなり勇気がいったけど(明らかに俺は浮いていた)。
彼女の笑った顔が見たくて。笑ってくれるような気がして。
それが見れるなら、と気合いを入れて店に入ったのだ。
「いいん、ですか…?」
戸惑うようにかけられた言葉に必死に頷く。
むしろ貰ってもらわないと困る。俺めっちゃ恥ずかしい奴になるじゃん。
そんな思いを込めて彼女を見つめれば、ふわりと色の変わった雰囲気。
(…あ…)
その色を俺は知っている。
あの、生徒手帳を届けたときと同じ。
あの、笑顔の合図。