七色ライラック
そして
「ありがとう、ございます!」
ドクンッ
迷ったように俺の顔と箱を交互に見た後、現れたのははにかんだ柔らかな笑顔。
微笑んだ彼女にカッと体が熱くなる。
そんな俺のことなんか知らず、嬉しそうな顔で手の中を眺める彼女。
箱の中の飴玉は太陽の光を浴びて七色のグラデーションを描いていた。
それを眺める彼女の横顔は有り得ないくらい綺麗で。
ジリジリと焼けそうなくらい胸が痛い。
その痛みは息苦しさを伴うほどなのに、どこか心地よさを残す。
そんな言葉にできない感覚に、改めて実感した。
(やっぱ好きだ)
その姿を両腕で抱き締めて、その笑顔を俺だけのものにしたいくらいに。
そんな木漏れ日の注ぐ木曜の公園でのこと。