七色ライラック
生まれて初めて学校をサボったあの日。
結局一限目に間に合わなかった私が学校に着いたのは、二限目の始まる少し前で。
校門を潜るなりいろんな先生から代わる代わることを言われてしまった。
だけどあの瞬間は今までにないくらい幸せな時間だったから。
少しも後悔はしていない。
「美桜、またそれ眺めてるの?」
あれから一週間。毎日欠かすことなく、あの宝箱を眺めるのが私の日課になっている。
こうやって亜実ちゃんに呆れられるのも毎日のことだ。
だけどそんなことは気にしない。
(別にいいもーん)
私の視線を奪うのはあの日貰ったこれだけ。
今日もキラキラと輝いている宝箱。
中に詰まった飴玉はもったいなくて食べることが出来ないでいる。