七色ライラック
確かにいろんな噂があるし、私自身詳しく知っているわけじゃない。
寧ろ全然知らない部類に入ると思う。
でも、だけど。
知らないからこそ、言いたくない。
だって私は何が真実かさえ知らないんだから。
何も確かなことを知らない人間が変なことなんて言っていいわけない。
それに、こんなことを私たちが言ってるなんて彼に知られるのは嫌だ。
例え伝わることのない想いだとしても、嫌われることなんてしたくないのに。
想いだけは綺麗なままでいたいのに。
「まぁ、うちらには一生縁のない人たちだからいいんだけどね。うちの学校の生徒が相手にするとは思えないし」
「ちょっ…!」
「あ、駅着いた」