七色ライラック
「そうなんだよ!でもトウゴのやつ、どんな女なのか絶対教えてくれなくてさー」
「えー!?そうなのぉ!?カナかわいそー!そんな女、リナが守ってあげるよぉ」
守ってあげる発言をしたのはさっきの声の子とは違う、彼の逆隣にいる派手な子。
ニヤニヤした顔で彼を見るのは、白に近い金髪をした男の人。
多分、前に一緒に朝の電車に乗っていた人だと思う。
その奥には同じように笑うもう一人の男の子もいて。
何となく、嫌な予感がした。
何がってわけじゃないの。
ただ、聞いちゃいけないって身体中が全力で危険信号を発してる。
今すぐ逃げなさいと本能が言ってる。
けれどこんな狭い車内じゃ逃げることなんて出来ず、私の耳は自然とその会話を拾ってしまう。