七色ライラック




「あー!わかったぁ!カナ、その子に貢がせようとしてるんでしょ!?」




サク女ってお金持ちばっかだもんねー!そんな一人の女の子の大きすぎる笑い声が響いた。


まるで私に向けられたような言葉。

耳に残るそれに体が跳ねる。


どことなく彼女たちの視線がこっちを向いているような気がして。

わざと私に見せつけているような気がして。


その言葉に騒つく胸の奥。




「ーっ」




あり得ない話ではない。

学校かも親からも厳しく言われている。


近付いてくる男の人には注意しなさいと。
警戒心を常に持ちなさいと。

私たちにはその可能性がついて回るから。


実際にそういう目にあった同級生も見たことがある。

そんな注意を受けるとき、必ず名前が出るのが紅南高校だった。




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