七色ライラック
「暇ならウチらと遊ぼうよぉ。ね?」
その声に返事をすることもなく無言で駅に向かい電車に乗れば、当たり前のように着いてくる女たち。
しかも暇なら遊ぼうとか。
何で俺が名前も顔も知らない奴らと遊ばなくちゃなんねぇんだよ。
まぁ確かに前の俺なら遊んでたかもしれない。
女って生き物に大して興味もなかったから、俺の欲求さえ満たせりゃなんでもよかったし。
でも、あの子と出会ったから。
俺の欲なんかどうでもいいって思うくらい、綺麗なあの子に出会っちまったから。
他の女と並びたくはねぇんだ。
それに俺は実際暇じゃない。
実は俺は紅南では珍しい大学進学希望の生徒なわけで。
高校こそ紅南を受けたが、大学は建築関係に進みたい。