七色ライラック
(やばい。顔が…)
想像しただけでドキドキする心臓。
顔がにやけそうになる。
そんなことを思いながらも、それを口にすることはしなかった。
この女たちに食いつかれたら面倒だし、まず必要性を一ミクロンも感じない。
話したら彼女を汚してしまうような気がして。
どうせ良いことは言わないだろうし。
彼女を蔑む言葉なんて聞きたくない。
そんなことするくらいなら俺は脳内シミュレーションを再開する。
周りの会話はこの際一切遮断だ。
まさかこの瞬間の決断を後で後悔することになるなんて、この時の俺はこれっぽっちも知らなかった。
「だめだよカナぁ。サク女は男に慣れてないから優しくしたら本気になっちゃうってー」
「で!?どうなんだよ、本当のとこは!」