七色ライラック
俺のことは何て言ったって構わねぇけどよ。
彼女の悪口を言われた日には、男女関係なく殴ってしまう自信がある。
「…別に、何でもいいだろ」
それだけ言って俺は再び口をつぐんだ。
この女たちに俺の気持ちを言う必要はないし、真人と直樹にもまだ知られたくない。
また一緒に電車に乗られても嫌だし。
前みたいに彼女が近くにいるのに何か言われたら困る。
こう言っとけば少しは大人しくなるだろ。
俺の唯一の幸せを奪われるなんてごめんだ。
大切なんだよ、彼女と会える時間が。
そう思って吐き出した言葉。
この時、違うと言っておけばよかった。
俺が彼女を好きなだけだと、邪魔するなと言えばよかった。
その過ちに気付いたのは電車が次の駅に着いたとき。