七色ライラック
「…もしかして、まだ諦められてないの?」
亜実ちゃんの問い掛けにうっと言葉が詰まる。
そんな私の僅かな反応を鋭い彼女が見逃すはずもなく。
ハァ、とあからさまに大きな溜め息を吐かれた。
その溜め息に揺れる私の肩。
「あのね、美桜」
呼ばれた名前に思わず体が強張る。
次に続く言葉は簡単に想像できた。
「どれだけいい人に見えても結局は紅南生なんだって。わかってるでしょ?どういう学校か。傷付くのは美桜なんだよ?」
一気に吐き出されたグサリと胸に突き刺さるようなその言葉。
予想と違わない妙に説得力のあるそれに私は黙り込むしかない。
だって知ってる。
実際に紅南の男の人を好きになって、傷付いて泣いていた子がいることを。