七色ライラック
遊ばれたって、騙されたって子が学校に何人もいるのを知ってるの。
私たちが過保護に育ったんだっていう自覚はある(実は私みたいな電車通学だって珍しい)。
男の人にも免疫がなくて、騙すには最高の相手なのかもしれない。
でも…
「好きなんだ、もん…」
それでも好きなの。
初めて見かけた日から、彼が紅南生だということはわかってた。わかっていて惹かれた。
あの日からずっと、見ているだけだった人。
そんな彼が笑いかけてくれて、話しかけてくれて。
嬉しかったんだ、どうしようもなく。
騙されているのかもしれない。
くれた言葉は全部嘘だったかもしれない。
そう思っても、好きの気持ちを消すことは出来なかった。