七色ライラック
初めての恋。彼じゃなかったら出来なかった恋。
「あの紅南生のどこがいいわけ?別に物凄い顔が良いってわけでもないし、見た目かなり無愛想だし」
私にはわからない、と頭を振る亜実ちゃんにムッと唇を尖らせる。
(…格好いいもん)
彼が格好よく見えないのは、単純に亜実ちゃんの理想が高いせいだと思う。
少なくとも私から見れば行き交う人の誰よりも格好いい。
そんなことを考えながら思い浮かべる彼の姿。
一番初めに目がいったのはあの二色の髪だった。
その一瞬は、何となく怖いなって。
でも次に見えた瞳にドキッと胸が高鳴ったのを覚えてる。
ドアに少しだけ凭れながら外を見つめる目が、綺麗だと思ったんだ。