七色ライラック
「ごっごめんなさい!」
振り向いた私に気付いたのか、慌てて頭を下げる彼女。
ふと着ている服を見れば、とある高校の制服で。
それを見て初めて高校生だったのかと気付く。
同じ高校生だとは一瞬わからないほど背の低い彼女は、小動物を思わせるほど可愛い。
くりくりした目と柔らかそうな頬が更に彼女を幼く見せている。私とは大違いだ。
涙目で一生懸命ごめんなさいと頭を下げる彼女に、大丈夫だと私も頭を下げようとしたとき。
彼女の後ろに大きな影が出来た。
威圧感のある、大きな影が。
「すんません。俺のがぶつかったみたいで」
そして私の頭よりもずっと高いところから降ってきた低い声。
その声に顔を上げて息を呑む。