七色ライラック
「こ、怖かった…」
二人が歩いていったのを確認したあと、亜実ちゃんがぽつりとそう零す。
その言葉に激しく同意する私。
「今の人、桐花の制服だったよね?…桐花にもあんな人いるんだ…」
静かな亜実ちゃんの言葉にうん、と頷いた。
そうだ。あれは桐花国際高校の制服だ。
桐花国際高校といえば名門公立高校で。
特に語学系に秀でている人が集まる学校だったと思う。
公立高校でありながらかなりの偏差値が必要で、紅南高校と別の意味で有名な学校。
そんな学校にあんな怖い人がいるなんて。
凄く意外だった。
彼の何倍も迫力があったような…
「っていうあの女の子、何なのかな。彼女だったりするの?」
脅されてるのかも、と呟く亜実ちゃんにゴクリと息を呑む。