七色ライラック
彼女の後ろ姿に伸ばした手が空をきった日から一週間。
俺は一度も彼女に会えていない。
あの日、呆然とその姿を見送るしかなかった俺は気付けば終点まであの電車に乗っていて。
真人や雪たちがいた電車を降りたのかさえわからないくらい真っ暗になった目の前。
いつの間にか降りだしていた雨に彼女のことが心配になったけど、どうすることも出来なかった。
「お前…大丈夫か?」
屋上で一人寝転がる俺の上に出来た影と落ちてきた言葉。
全てを遮るように閉じていた目を開ければ、視界に映ったのは腰に手をあて仁王立ちする雪の姿だった。
その表情は心配しているような、呆れたような。
なんとも判別しにくいもので。
俺は相槌を打つこともなくゴロンと寝返りをうつ。