七色ライラック
「相当参ってんだ?」
冷たいコンクリートに寝そべってうなだれる俺に横からかけられる雪の言葉。
抑揚の少ないそれからその真意を正確に汲み取るのは難しい。
だけどそれを考える元気もない今の俺は、雪からの問いに声にならない声で返事を返す。
(参ってる、か…)
参ってるなんて、そんな可愛いもんじゃないんだ。
本当にどうしたらいいのかわかんねぇんだよ。
「何で、否定しなかったんだろう…」
戻れるならあの瞬間に戻って、あの時の自分に彼女がそこにいると教えてやりたい。
いや、むしろ全力でぶん殴ってやりたい。
からかわれるとか、そういうのは全部後にして。
ちゃんと好きなんだと言えばよかった。
流すなんてしなきゃよかった。