七色ライラック
きっと他の奴が聞いたら、そんなことくらいでって笑われるようなことなんだろう。
実際俺だって今までだったら笑う側にいたはず。
でも、彼女の姿を見ることが日常になってしまったのが今の俺。
たったそれだけのことで、日常が壊れたような。そんな気分なんだ。
「……それだけ、本気なんだろ」
そんな俺の話を黙って聞いていた雪が、少しの間をあけてから口を開く。
どこか憂いを帯びている雪の言葉。
そこには噛み締めるような重さがあって。
思ってた以上に、と続いたその言葉に頷くことしか出来ない。
まさかこんなにハマってたなんて。俺だって知らなかった。
綺麗すぎる青い空は彼女に似ている気がして見たくなくて、仰向けに寝転がりながら両腕で視界を遮る。