七色ライラック




気付けば毎日、彼女のことを考えてる自分がいる。

朝起きた瞬間から夜寝るその瞬間まで。

もしかしたら夢のなかでも、彼女の笑った顔が離れない。

触れた手の感触がまだ残ってる。


こいつも、そうだったんだろうか。

雪も俺みたいに光の中にいる彼女に焦がれたんだろうか。


そんなことを思いながら深く息を吐けば



バシッ




「いっ!?」




突然勢いよく叩かれた頭。

何で叩かれたのかわからないが、無駄にいい音が静な屋上に響いた。




「…そんな奏芽にいい情報をやろう」




思いの外強かったその痛みに慌てて起き上がれば、余裕の笑みを浮かべた雪がそこにいて。

なんかすげぇムカつく。


でも雪の言う"いい情報"ってのが気になった。

何となく、だけど。




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