七色ライラック
雪の姿が見えなくなった後も、動けないままその場で呆然としていた俺。
そんな俺を現実に引き戻したのは、遠くに聞こえるチャイムの音だった。
その音が終わると同時に再びごろんとアスファルトの上に仰向けで転がる。
そして思い出す雪の言葉。
──明日、サク女は公開授業で学校があるらしいぞ。
確かだ、と雪は言った。
「…学校には、いる」
行けば会えるかもしれない。
上手くいけば声が聞けるかもしれない。
いや、会わなくちゃいけないんだ。会って、伝えなくちゃ。
もう隠せないほど想いは大きくなってしまっているから。
そう思えばいてもたってもいられなくて。
会いたくて仕方なくて。
「早く、明日んなれ…!」
そう青空に願った土曜の午後。