七色ライラック
いつも横目で見ていたあの姿が。
隣で笑ってくれたあの姿が、消えてくれない。
(やっぱり…会いたいな)
そう思うのは、彼が好きだから。
何度考えても辿り着くその答えに、ひどく胸が痛んだ。
キーンコーン カーンコーン
「…ぃぉ?…美桜ー?大丈夫?」
「…っへ?」
ふと聞こえてきた自分の名前に自分の世界に入り込んでいた意識が浮上する。
一番に視界に入った黒板には見たこともない数字の羅列。
ノートに書きかけの数学の公式。
はっとして周りを見渡せば、教室にいる人は疎らで。
右隣では亜実ちゃんが心配そうな顔で手を振りながら私の顔を覗き込んでいた。
「あ、あれ?先生は?みんなは?」
「もうとっくに授業終わったよ」