七色ライラック
そして的を突かれ言い返せない彼女の言葉に、私は口を開くことも出来ないまま視線を落とした。
流れる静かな一時の沈黙。
「…もう諦めたほうがいいって。向こうも遊びで声かけてきたんだろうし」
美桜は純粋すぎるんだよ、と。
亜実ちゃんは眉を寄せてそう繰り返す。
あの日から何度も何度も聞いた台詞。
諦めろって、遊ばれてるんだって。
本気にしちゃ、ダメだって。
何人もの女の子たちに言われた。
その言葉は正しいのかもしれない。
亜実ちゃんが私のことを心配してくれてるのも痛いくらいわかってる。
けれど、どうしても素直に頷けない自分がいて。
私は鞄の中に入っていた小さな宝箱を取り出し、そっとその縁を指でなぞった。