七色ライラック




だからあの日、あんな場面に遭遇したのは調子に乗っていた罰だったのかなって。そう思った。


彼は私なんかと違って周りにたくさんの人がいる。

恋だってきっとしてきたと思うから。


恋愛初心者の私には到底手の届かない人。




「…でも…でも、好きなんだもん」




そうわかっていても、それでも決して消えてくれない想い。

目を瞑れば彼の笑った顔ばかりが浮かんでくる。


会いたくて会いたくて。


傷付きたくなくて自分から避け始めたはずなのに、寂しくて仕方ないんだ。




「嫌われてても、いい…」




彼になら、騙されてもいいから。

後悔なんてしないから。




「会いたいよ…っ」




なかったことには、したくないの。





< 176 / 244 >

この作品をシェア

pagetop