七色ライラック
だからあの日、あんな場面に遭遇したのは調子に乗っていた罰だったのかなって。そう思った。
彼は私なんかと違って周りにたくさんの人がいる。
恋だってきっとしてきたと思うから。
恋愛初心者の私には到底手の届かない人。
「…でも…でも、好きなんだもん」
そうわかっていても、それでも決して消えてくれない想い。
目を瞑れば彼の笑った顔ばかりが浮かんでくる。
会いたくて会いたくて。
傷付きたくなくて自分から避け始めたはずなのに、寂しくて仕方ないんだ。
「嫌われてても、いい…」
彼になら、騙されてもいいから。
後悔なんてしないから。
「会いたいよ…っ」
なかったことには、したくないの。