七色ライラック
バァンッ
「─────い、和泉さんっ!」
突然激しい音を立てて勢いよく開いた教室の扉。
それに続くように大きな声で呼ばれたのは私の名前で。
あまりに大きな声と音にピタッと思考が止まる。
驚いてそちらを見れば、そこには慌てた様子で息を切らせたクラスメートが立っていた。
肩で息をするたび彼女のボブの髪が揺れる。
そんな彼女を目を見開いて呆然と見つめる私と亜実ちゃん。
「ど、どうしたの?」
先に我に返ったのは亜実ちゃんで。
未だ声の出ない私に変わって彼女に声をかけた。
その問い掛けに深呼吸を繰り返し息を整えると、亜実ちゃんではなく真っ直ぐに私に視線を向けた彼女。
その真剣な瞳に思わずごくりと息を呑む。