七色ライラック
「今、校門に紅南高校の人が来てて…和泉さん探してるって…」
彼女の言葉に、ドクリと心臓が鈍く鳴った。
紅南高校の生徒。たったそれだけ。
あの人かどうかなんてわからないのに。
それなのに心臓はありえないほど激しく音をたてる。
(違うよ、きっと)
あの時は彼だったけれど。今回もそうだとは限らない。
だって私は彼を避けたんだから。
本当は嫌われてるかもしれないんだから。
それに探してるのだって私じゃないかもしれない。
「和泉ってことは…美桜じゃないかもしれないんでしょ?」
私の心境を代弁するように亜実ちゃんが口を開く。
けれどそれは私を呼びに来た彼女によって呆気なく壊された。
「和泉、美桜ちゃんを…探してるって」