七色ライラック
勝負をかけた日曜日。
俺は生徒手帳を届けた日と同じように、サク女の校門の前に立っていた。
雪が言っていたとおり、今日は授業があったらしい。
終わる時間も確認したから間違っていないだろう。
近くを通った子に今度は確かに"和泉美桜"ちゃんを探しているとフルネームを伝えて彼女を待つ。
「…っはぁー…緊張してきた…」
その名前を告げただけで、身体中に走る緊張。
それは今この瞬間も彼女のことが好きだという証明のようで。
何度も一人深呼吸を繰り返す。
息を吐き出せば思い出す、初めてここに来た日のこと。
もう随分と前のことのように感じた。
あの時も物凄く緊張していた気がする。
まだ、見ているだけで一杯だった世界。