七色ライラック
「…あ、の…!」
校門の壁に背を預け繰り返しそんなことを思っていれば、不意に後ろから聞こえてきた透明な声。
その声にドクリと心臓が大きく疼く。
すぐ近くで、一週間聞くことの出来なかったあの声が響いた。
はやる鼓動を抑えてゆっくりと振り返れば、そこには肩で息をしながらこちらを見ている彼女の姿。
顔にかかった髪と上がった息は彼女がここまで走ってきてくれたことを物語っている。
少し遅れてその後ろに立ったのは、電車でよく見かける彼女の友達。
どうやら彼女を追ってきたらしい。
俺と少し距離を置くようにして立っている彼女。
ぎゅっとスカートの裾を握りしめる手は俺から見てもわかるほどに震えていた。