七色ライラック
瞳は真っ直ぐ俺を見ている。
その中には確かに俺の姿だけが映っていた。
ドクン
汚れを知らないような、水晶玉のようなその瞳に高鳴る胸。
もしかしたら彼女の視界にも俺しか入っていないんじゃないか、なんて。
緊張すると同時に何かを期待してしまっている自分に思わず苦笑いが漏れる。
ドクドクといつもより早く動く心臓に拳を強く握り、俺は意を決して彼女の前で立ち止まった。
きっと、今の俺はものすごく情けない顔をしているんだろう。
見えないけれど自分でもよくわかる。
体だって熱いし、手のひらの汗は尋常じゃない。
だけど、それでも俯くことはしたくなかった。
それは俺の精一杯の誠意。
この想いを、俺は迷子にさせたくない。