七色ライラック
謝るのが先だったかもしれない。
俺も頭の中では謝らなくてはと何度も思っていたし、ついさっきまでそのつもりでいた。
この言葉は誤解を解いた後で改めて、と。
そう思っていたはずなのに。
それなのに彼女の姿を目の前にした瞬間、口から出たのは想いを伝える言葉で。
もしかしたら触れられそうなこの距離や風に乗って鼻を掠める彼女の香りにあてられてしまったのかもしれない。
それとも彼女は何か魔法を使えたりするのだろうか。
そんなバカなことを考えてしまうほど、するりと落ちた言葉。
俺は目の前の彼女にどうしても先にこの言葉を伝えたくなってしまった。
好きだと、今すぐ彼女に伝えたくて。
それはもう頭とは別の、心の叫び。