七色ライラック
もう嫌われてしまっているかもしれない。
二度と関わりたくないと思っていたかもしれないけれど。
でも彼女は立ち去らずに俺の言葉を聞いてくれるから。
俺を無視することだって出来るのに、そうしないでいてくれるから。
だから、すべて伝えたいと思った。
どうせ嫌われてしまうなら、後悔なんてしないように。
燻っていた想いをすべて彼女にぶつけてしまいたい。
「…やっと好きだった子に…和泉さんに、近付けて…邪魔されたくなかったんだ。誰にも、絶対に」
初めてだった。見ているだけで焼けるように胸が痛くなる想いなんて。
声が聞こえるだけで鼓動は高鳴って。
指先が触れるだけで全身が熱くなる想いがあるなんて知らなかった。