七色ライラック
雪が返しに行くべきだと言ってくれて。
その時に思ったんだ。
このチャンスを逃したら、もう絶対に声なんてかけられないと。
また見ているだけの日が続くなんて絶対に嫌だと。
そう思った。
彼女はそんなきっかけがないと話しかけられないくらい、俺にとって高嶺の花。
綺麗すぎる存在。
わかっていたけど、この想いは捨てられなくて。
ずっと、この胸に抱いてきた。
バカみたいに、毎朝胸を高鳴らせた。
「…好きなんだ」
君のことが、凄く。凄く好き。
改めて口にすれば五月蝿いくらい心臓の音が頭に響く。
釣り合わないとわかっていても。たとえ嫌われていたとしても。
どうかこの想いだけは嘘にしないでほしい。
そんな思いで彼女を見つめる。