七色ライラック
きっと相手が俺じゃ、相談できる相手だってそういなかっただろう。
俺が雪にバレるまで誰にも相談できなかったのと同じ。
俺の場合はまだ俺の想いを肯定してくれる雪がいたからいいけど。
彼女は否定されたんだろうなと、思う。
何度も、止めておけって言われたと思う。
俺だって彼女の友人ならそう言うだろうから。
大げさに聞こえるかもしれないけど、それくらい俺と彼女の間には差がある。
だから、まさか彼女が俺の手を取ってくれるなんて。夢を見てるみたいだ。
「…やばい…すっげぇ嬉しい」
彼女の肩に額を預けてそう呟けば、彼女が俺の腕の中で小さく震える。
あぁ、どうしよう。
その小さな振動さえ俺の心を掻き乱して。