七色ライラック
嬉しい嬉しい。すっげぇ嬉しい。
今の俺の顔なんて見せられたもんじゃない。
絶対真っ赤になってるのが自分でもわかる。
だって顔がこんなに熱い。
でも、彼女の顔は見たくて。
今彼女がどんな表情をしているのか知りたい。
俺は彼女のことをほとんど知らないから。
それこそ電車の中での彼女しか知らない。
外で話したのなんてほんの少しだけ。
それでもこんなに好きで。
どんな表情でも知りたいと、見てみたいと思うんだ。
(…ちょっとだけ)
俺の顔は見られないようにほんの少しだけ顔をずらして彼女の顔を盗み見る。
すると腕の中でさらりと流れた黒い髪。
俺の固いものとは違う、柔らかくていい匂いのするそれ。
その隙間から見えた白い肌。