七色ライラック
あぁ、俺の心臓はちゃんともつんだろうか。本気で心配になってきた。
「あなたたち!一体何の騒ぎですか!?」
そんな俺たちの騒ぎを聞き付けたのか(あくまで俺には騒ぎを起こした気はない)、遠くから聞こえてきた甲高い声。
年配らしいその声はたぶんサク女の教師だと思う。生徒じゃない。
なんかいかにもって感じの声だ。
隣で顔を青くしている彼女が"先生"と呟いたのを見るかぎり間違いはないだろう。
「…和泉さん!」
「きゃっ!」
俺のせいで彼女が怒られるのはごめんだ。
だけど、今二人のこの時間を邪魔されるのはもっとごめんだ。
その瞬間俺の決断は早かった。
戸惑う彼女の手を取り、その真っ直ぐ校門の外へと走り出す。