七色ライラック
(あぁ…もう…っ!)
可愛い。どうしようもなく好きだと思う。
今ならこの場で好きだと叫べるくらい。
やっと、やっとスタートラインに立てた。
彼女の隣に立つ権利をやっと手にできた。
諦められなかった恋が、形になった。
もう一度好きだと告げて、力一杯抱き締めたい。
もっとたくさん話して、もっとたくさん触れたい。
でも、とりあえず
「…下の名前で、呼んでもいいですか…?」
まずは彼女の名前を呼ばせてほしい。
呼ぶことの出来なかった下の名前を。
俺の彼女としてその名を呼びたいんだ。
俺だけの特別な音で、彼女を呼びたい。
そんな俺の言葉に彼女が小さく頷いてくれるのは数秒後のこと。
触れる理由がいらなくなった日曜日の午後のこと。