七色ライラック
いつもの電車のいつもの車両。
適度に込み合ったひとの波を掻い潜り、一人扉の近くに立つ。
窓の外を流れる風景は昨日と同じようなもの。それを眺めながら時間を過ごす。
これが私のいつも変わらない朝の風景。
だけど今日は、いつもと少しだけ違う。
いつもより特別な朝なのだ。
(き、緊張してきた…!)
途中で乗り合わせた亜実ちゃんとの挨拶もそこそこに、私はぎゅっと胸の前で両手を握り締める。
リボンは曲がっていないだろうか。
スカートのしわは?
髪の毛はどこも変じゃない?大丈夫?
いつも以上にあちこちが気になって。
忙しなく動く私の心臓。
表情だって百面相だろう。