七色ライラック
亜実ちゃんに変な人を見る目で見られたけれど、気にしている余裕はない。
(だって…)
もうすぐ、あの駅がくるのだから。
彼がこの電車に乗ってくる、毎日待ち遠しかったあの駅まであと少し。
昨日、私たちの関係は変わった…のだと思う。
全てが私の妄想でなかったなら、私たちは昨日までとは違う関係になったはず。
会いたいと思っていた彼が学校に現れて。
それだけでどうしようもなく心臓が高鳴ったのに。
『…好きなんだ』
それなのに彼の口からは私が欲しいと願った言葉が紡がれた。
瞳は真っ直ぐに私を映して。
まるで二人しかいない世界のようだった。
あの瞬間を思い出すだけでも心臓は五月蝿く音を増す。