七色ライラック




学校から逃避行するように抜け出して向かった駅。

見慣れた道も映画のワンシーンのように感じた。


あのあと、どうやって家に帰ったのかはよく覚えていない。


ただドキドキ胸がうるさくて。

繋がった手のひらが熱くて。


彼からの言葉に必死に頷いたような気がする。


そんな私に彼が今までにないくらい優しく笑ってくれた気がした。




(ど、どうしよう)




彼が乗ってきたら、どんな反応をすればいいんだろう。

自分から声をかけたりするべきなんだろうか。


男の人とお付き合いなんてしたことがない私には何が正解で何が間違いなのかもわからない。


そんなことを考えていたら夜も眠れなくて。

ずっと、ドキドキが止まらない。




< 213 / 244 >

この作品をシェア

pagetop