七色ライラック
「美桜、大丈夫?」
いつまでたっても落ち着かない私に亜実ちゃんが邪険そうに眉を寄せたけど、上手く返事をすることは出来なかった。
ただコクコクと首を縦に振るのが精一杯。
全然大丈夫なんかじゃない。こんなに緊張するなんて。
あぁ、どうしよう。
頭が混乱して今にも泣き出してしまいそうだ。
そんなとき
プシュー
聞き慣れた音をたてて開いた反対側の扉。
ドキンと心臓が大きく跳ねる。
私が乗ってからあちら側の扉が開くのはあの駅が一番最初。
彼の乗ってくる、あの駅が。
「東吾、お前相変わらず早い電車乗ってんのなー」
「オレまだ眠いよ」
「うるせぇ。じゃあ乗んなよお前ら」