七色ライラック
(どうしよう、どうしよう…!)
視線は彼に釘付けのまま、体の熱だけが上がっていく。
きっと顔は真っ赤になってるのだろう。
こっちを見てほしいような、見てほしくないような。
そんな矛盾した感覚。
あぁでもやっぱり、こっちを向いてほしいかもしれない。
その時
パチッ
(…あ…)
彼の顔がこちらを向いて、視線が重なった。
そして
「…うわぁ…」
ふわりと穏やかに口元を緩めた彼に空気が揺れる。
トクントクンと波打つ鼓動は早さを増すけれど。
消してしまいたくないと願うくらい心地好い。
まるで初めて彼を見たときのようだ。
とても綺麗で、まるで絵画のような彼。
瞬きをするのも忘れてただその姿を見つめていた。